徐々に熱を帯び始めている、サーバーとストレージを統合した新しい形態のシステムインフラである 「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ (Hyper-Converged Infrastructure:HCI) 」 について、情報整理も含め、まとめてみました。
ハイパーコンバージドインフラが生まれた背景
現在の仮想化環境は、設置スペースを多く取っていたり、複雑なシステム構成(サーバーもストレージもSANスイッチも冗長化・・)になっていたりするため、運用管理を行うにあたり、サーバー管理者とストレージ管理者が必要になることから、導入/変更/運用へのハードルが高くなる傾向にありました。
また、従来のアーキテクチャーでは、急激に増加する仮想マシンやデータベースが必要としている高いI/O性能の両方要件に柔軟に対応できるようには設計されておらず、性能を拡張する際に高額な費用が掛かってしまうため、コストパフォーマンスが悪いという課題点がありました。
上記のような、従来の仮想化環境が抱えていた複雑性/管理負荷/コスト面を解決するため、あらかじめ仮想化に必要なシステム構成で提供できるよう、サーバー/ストレージ/ネットワーク、それに仮想化ソフトウェアや管理ツールなどをパッケージ化して提供するために開発されました。
ハイパーコンバージドインフラの技術的な構成要素
1,共有ストレージアレイを使わず、各サーバーのローカルストレージを使うこと。
2,各サーバーを内部接続させ、クラスタ構成すること。
3,Software-Defined Storage(SDS)機能により、ローカルストレージをスケールアウトストレージにする機能を備えていること。
ハイパーコンバージドインフラのメリット
ハイパーコンバージドインフラは、一つの筐体の中にサーバーとストレージの機能を集約しており、導入時にサーバー装置とストレージ装置を接続する必要がなく、設計や各機器の相互接続確認が不要であるため、仮想化環境を即座に構築することが可能です。
また、サーバー毎に内蔵したストレージを、ソフトウェアによって仮想ストレージとして構成することにより、シンプルなハードウェア構成で高価なストレージを利用することなく、低コストで容易に拡張可能なストレージ環境を構築できるようになります。
そのため、 最小構成となる物理的なハードウェアがシンプルで小型化も容易であるため、スモールスタートがしやすく、スケールアウトストレージを活かし、サーバーを追加していくだけで、どんどん処理能力や処理容量を増やしていけます。
ハイパーコンバージドインフラのデメリット
物理的構成(筐体の特性)により、各ストレージの容量が少ないと判断して増設するような使い方をすると、ハイパーコンバージドインフラのサーバー自体の台数を増やこととなります。
ストレージ構成の点から見ると、ALL HDD の構成では物理ストレージに比べて書き込み性能が低下する恐れがあり、SSD を搭載するとなるとコスト面での兼ね合いが必要となります。また、各ノードがサーバーとストレージの役割を同時に果たしているため、1ノードがダウンするということは、1ストレージがダウンすることと同じ状況になります。
ハイパーコンバージドインフラの使い道
・ デスクトップ仮想化の為のインフラ構築
・ 部署や拠点ごとのインフラ環境の統合
・ 企業内でのパブリッククラウドの構築
ハイパーコンバージドインフラの気を付ける点
・ ストレージソフトウェアの性能や機能は、製品により異なる。
・ ノードを集約して機能させるため、ユーザーアクセスを考慮したネットワーク設計の知識が必要。
・ 200V 電源ユニットが搭載されているため、200V 電源が設置拠点まで引きこまれているか、コンセント自体において 200V 用の電源コンセントが使えるか確認が必要。
運用管理用ソフトウェア
Nutanix : Acropolis Hypervisor (KVMをベースとしたハイパーバイザー)
■ Nutanixを触ってみた/Acropolis Hypervisor編
http://qiita.com/hmatsu47/items/3daa1ae237ab5e2546e3
■ Lenovo HX シリーズ Nutanix 運用ガイド
http://www.lenovojp-cms.com/cmscontents/gdfiles.php?md=511
EMC : VxRail Manager
■ VCE VxRailを触ってみた
http://qiita.com/hmatsu47/items/613b18d8bf9dfbfdf2c0
HPE : HPE OneView (vCenter、Hyper-v用)
■ HPE OneView: ITインフラストラクチャ管理
https://www.hpe.com/jp/ja/integrated-systems/software.html
■ HPE OneView 3.0 ユーザーガイド
https://h50146.www5.hpe.com/lib/products/servers/proliant/manuals/5200-1737_ja.pdf
ハイパーコンバージドインフラの運用管理について
ただし、パフォーマンス関連の改善切り分け対応や、アプリケーション層レベルでの障害の切り分けが難しそうな感じかしますね。。
導入事例もまだまだ少ないと思いますし、インフラ周りはメーカー固有の部分があるため、できる部分はログの取得までで、原因特定にはベンダー丸投げしてログの分析をしてもらうしかないかな。。
最近多いけど、ログまで管理担当者レベルで見られると、メーカー側の分析エンジニアが不要になる傾向もあるのかな、、と。
<参考情報>
■ 「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」という、統合サーバーの新潮流が登場
http://cn.teldevice.co.jp/column/detail/id/98
■ 「ハイパーコンバージド」ってなんだ?
http://www.bit-isle.jp/column/17.html
■ ハイパーコンバージドインフラストラクチャーとは?
https://www.lenovojp.com/business/solution/018/index_2.html
■ 今注目の”ハイパー・コンバージド・インフラ”とは
https://www.nicpartners.co.jp/report/36595/
■ ハイパーコンバージドインフラ超・超・超入門
http://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/products/catalog/pdf/hypeflex-nyumon.pdf
■ ハイパーコンバージド製品の本命「HPE HC380」を実運用の観点から検証
http://www.ctc-g.co.jp/report/column/hyper_converged/index.html
■ HPE Hyper Converged System (ハイパーコンバージドシステム)
http://www.ctc-g.co.jp/solutions/hp_hyperconverged/index.html
■ ハイパーコンバージドインフラとは|導入のメリットと人気製品3つの比較
https://furien.jp/columns/108/
■ 実機で語るハイパーコンバージドシステム・使ってみた感想
http://server.etutsplus.com/hpe-hyper-converged-250-system/
■ 第1回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~Vxrail & VSAN Overview ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/08/vxrail-vsan01.html
■ 第2回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~ VxRail インストール ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/08/vxrail-vsan02.html
■ 第3回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~ VxRail の運用と管理:前編 VxRail Managerのご紹介 ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/09/vxrail-vsan03.html
■ EMCのハイパーコンバージドインフラ「VxRail」を使い倒す方法
https://www.slideshare.net/naotakeyoshida1/emcvxrail
■ Acropolis Hypervisor ~Nutanixが生み出した無償のハイパーバイザー~
https://www.nissho-ele.co.jp/product/nutanix/technology/acropolis-hypervisor.html
■ Nutanix 概要紹介
https://www.slideshare.net/smzksts/nutanix-55678666
■ 2016年中堅・中小企業におけるハイパーコンバージドインフラの導入意向
https://japan.cnet.com/release/30146713/
ハイパーコンバージドインフラが生まれた背景
現在の仮想化環境は、設置スペースを多く取っていたり、複雑なシステム構成(サーバーもストレージもSANスイッチも冗長化・・)になっていたりするため、運用管理を行うにあたり、サーバー管理者とストレージ管理者が必要になることから、導入/変更/運用へのハードルが高くなる傾向にありました。
また、従来のアーキテクチャーでは、急激に増加する仮想マシンやデータベースが必要としている高いI/O性能の両方要件に柔軟に対応できるようには設計されておらず、性能を拡張する際に高額な費用が掛かってしまうため、コストパフォーマンスが悪いという課題点がありました。
上記のような、従来の仮想化環境が抱えていた複雑性/管理負荷/コスト面を解決するため、あらかじめ仮想化に必要なシステム構成で提供できるよう、サーバー/ストレージ/ネットワーク、それに仮想化ソフトウェアや管理ツールなどをパッケージ化して提供するために開発されました。
ハイパーコンバージドインフラの技術的な構成要素
1,共有ストレージアレイを使わず、各サーバーのローカルストレージを使うこと。
2,各サーバーを内部接続させ、クラスタ構成すること。
3,Software-Defined Storage(SDS)機能により、ローカルストレージをスケールアウトストレージにする機能を備えていること。
ハイパーコンバージドインフラのメリット
ハイパーコンバージドインフラは、一つの筐体の中にサーバーとストレージの機能を集約しており、導入時にサーバー装置とストレージ装置を接続する必要がなく、設計や各機器の相互接続確認が不要であるため、仮想化環境を即座に構築することが可能です。
また、サーバー毎に内蔵したストレージを、ソフトウェアによって仮想ストレージとして構成することにより、シンプルなハードウェア構成で高価なストレージを利用することなく、低コストで容易に拡張可能なストレージ環境を構築できるようになります。
そのため、 最小構成となる物理的なハードウェアがシンプルで小型化も容易であるため、スモールスタートがしやすく、スケールアウトストレージを活かし、サーバーを追加していくだけで、どんどん処理能力や処理容量を増やしていけます。
ハイパーコンバージドインフラのデメリット
物理的構成(筐体の特性)により、各ストレージの容量が少ないと判断して増設するような使い方をすると、ハイパーコンバージドインフラのサーバー自体の台数を増やこととなります。
ストレージ構成の点から見ると、ALL HDD の構成では物理ストレージに比べて書き込み性能が低下する恐れがあり、SSD を搭載するとなるとコスト面での兼ね合いが必要となります。また、各ノードがサーバーとストレージの役割を同時に果たしているため、1ノードがダウンするということは、1ストレージがダウンすることと同じ状況になります。
ハイパーコンバージドインフラの使い道
・ デスクトップ仮想化の為のインフラ構築
・ 部署や拠点ごとのインフラ環境の統合
・ 企業内でのパブリッククラウドの構築
ハイパーコンバージドインフラの気を付ける点
・ ストレージソフトウェアの性能や機能は、製品により異なる。
・ ノードを集約して機能させるため、ユーザーアクセスを考慮したネットワーク設計の知識が必要。
・ 200V 電源ユニットが搭載されているため、200V 電源が設置拠点まで引きこまれているか、コンセント自体において 200V 用の電源コンセントが使えるか確認が必要。
・ 特定ノードのパーツ部品が一個壊れたら、1 ノード丸ごと交換になるため、保守の契約・更新は必須。
運用管理用ソフトウェア
Nutanix : Acropolis Hypervisor (KVMをベースとしたハイパーバイザー)
■ Nutanixを触ってみた/Acropolis Hypervisor編
http://qiita.com/hmatsu47/items/3daa1ae237ab5e2546e3
■ Lenovo HX シリーズ Nutanix 運用ガイド
http://www.lenovojp-cms.com/cmscontents/gdfiles.php?md=511
EMC : VxRail Manager
■ VCE VxRailを触ってみた
http://qiita.com/hmatsu47/items/613b18d8bf9dfbfdf2c0
HPE : HPE OneView (vCenter、Hyper-v用)
■ HPE OneView: ITインフラストラクチャ管理
https://www.hpe.com/jp/ja/integrated-systems/software.html
■ HPE OneView 3.0 ユーザーガイド
https://h50146.www5.hpe.com/lib/products/servers/proliant/manuals/5200-1737_ja.pdf
ハイパーコンバージドインフラの運用管理について
ノード障害時において、仮想マシンは High Availability (HA) / フェールオーバー により別ノードで起動し、仮想ディスクはポリシーを満たすため、別ノードに新たなコピーが作成される動きとなりますので、高可用性は担保できると思います。
ただし、パフォーマンス関連の改善切り分け対応や、アプリケーション層レベルでの障害の切り分けが難しそうな感じかしますね。。
導入事例もまだまだ少ないと思いますし、インフラ周りはメーカー固有の部分があるため、できる部分はログの取得までで、原因特定にはベンダー丸投げしてログの分析をしてもらうしかないかな。。
最近多いけど、ログまで管理担当者レベルで見られると、メーカー側の分析エンジニアが不要になる傾向もあるのかな、、と。
<参考情報>
■ 「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」という、統合サーバーの新潮流が登場
http://cn.teldevice.co.jp/column/detail/id/98
■ 「ハイパーコンバージド」ってなんだ?
http://www.bit-isle.jp/column/17.html
■ ハイパーコンバージドインフラストラクチャーとは?
https://www.lenovojp.com/business/solution/018/index_2.html
■ 今注目の”ハイパー・コンバージド・インフラ”とは
https://www.nicpartners.co.jp/report/36595/
■ ハイパーコンバージドインフラ超・超・超入門
http://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/products/catalog/pdf/hypeflex-nyumon.pdf
■ ハイパーコンバージド製品の本命「HPE HC380」を実運用の観点から検証
http://www.ctc-g.co.jp/report/column/hyper_converged/index.html
■ HPE Hyper Converged System (ハイパーコンバージドシステム)
http://www.ctc-g.co.jp/solutions/hp_hyperconverged/index.html
■ ハイパーコンバージドインフラとは|導入のメリットと人気製品3つの比較
https://furien.jp/columns/108/
■ 実機で語るハイパーコンバージドシステム・使ってみた感想
http://server.etutsplus.com/hpe-hyper-converged-250-system/
■ 第1回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~Vxrail & VSAN Overview ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/08/vxrail-vsan01.html
■ 第2回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~ VxRail インストール ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/08/vxrail-vsan02.html
■ 第3回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~ VxRail の運用と管理:前編 VxRail Managerのご紹介 ~
https://blogs.vmware.com/jp-cim/2016/09/vxrail-vsan03.html
■ EMCのハイパーコンバージドインフラ「VxRail」を使い倒す方法
https://www.slideshare.net/naotakeyoshida1/emcvxrail
■ Acropolis Hypervisor ~Nutanixが生み出した無償のハイパーバイザー~
https://www.nissho-ele.co.jp/product/nutanix/technology/acropolis-hypervisor.html
■ Nutanix 概要紹介
https://www.slideshare.net/smzksts/nutanix-55678666
■ 2016年中堅・中小企業におけるハイパーコンバージドインフラの導入意向
https://japan.cnet.com/release/30146713/
逆に、企業側から見ると、ECで動かしているAmazonに任せるほうが、可用性と完全性は勝てないので、任せる一択になるのかな、と。
※「可用性・完全性・機密性」の一般的な観点からはAmazonやGoogleが全部特化していると思いますが、データ廃棄まで責任を持つと言った機密性を考えると、自分で持っていた方が安心という意味で警察などの例を出しています。